捜索の章 第2部

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忙しいでしょうけど、そちらでも少し考えてみて下さい。 何か分かりましたら、すぐに連絡します」 小林は携帯電話を懐に仕舞いながら「場所を変えますか?」と聖の顔を見た。 聖は小林の質問には答えず、別のことを述べる。 「小林巡査の間違いで、何かが解りそうだ」 「えっ? そうなんですか?」 「メモをくれ」 小林は素直に聖にメモ用紙を差し出した。 聖は用紙を受け取り、それを見つめる。 「この暗号では、戦艦の【艦】は使えなかった。 どうしても【鑑みる】という字を使うしかなかったと考えられる」 「う~ん、そうですかね。 さっきも言いましたが、単に書き間違えただけじゃ……」 「今はその可能性は排除しよう。 戦艦の【艦】と【鑑みる】、両者の違いを考えてみようか」 小林は自分の鼻の頭を掻きながら、メモを覗き込む。 「単純に偏が違いますよね」 「偏か。 もし部首にキーがあるのだとすると、【百】や【一】はどうなる」 「そっちには偏も冠もないですね。 それじゃ、漢字の画数ですかね?」 「なるほど」 小林の意見を受け、聖は一文字ずつ画数を数えた。  百:6  花:7  鑑:23  影:15  一:1  瞬:18 「お手柄だ、小林巡査」 聖はそう言って、今度は2行目の文章に印を付け始める。  【ワ】 イ  ル  ド  な 【ポ】【ー】 ズ  で  私  の  敵  は  ア 【タ】 ッ  カ 【ー】 を  ア  シ  ス 【ト】 それを見て、小林は目を輝かせた。 「そうか! 漢字の画数と同じ文字数のところを拾って読むんですね!」 「そのようだな。 まずは6番目の文字が【ポ】、7番目が【長音(ー)】」 小林が興奮して聖の後を継ぐ。 「23番目が【ト】、15番目が【タ】、1番最初が【ワ】、そして18番目もまた【長音】!」 「つまり次の暗号のありかはあそこだ」 聖は車のフロントガラスの向こうに見える【千葉ポートタワー】を指差した。
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