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忙しいでしょうけど、そちらでも少し考えてみて下さい。
何か分かりましたら、すぐに連絡します」
小林は携帯電話を懐に仕舞いながら「場所を変えますか?」と聖の顔を見た。
聖は小林の質問には答えず、別のことを述べる。
「小林巡査の間違いで、何かが解りそうだ」
「えっ?
そうなんですか?」
「メモをくれ」
小林は素直に聖にメモ用紙を差し出した。
聖は用紙を受け取り、それを見つめる。
「この暗号では、戦艦の【艦】は使えなかった。
どうしても【鑑みる】という字を使うしかなかったと考えられる」
「う~ん、そうですかね。
さっきも言いましたが、単に書き間違えただけじゃ……」
「今はその可能性は排除しよう。
戦艦の【艦】と【鑑みる】、両者の違いを考えてみようか」
小林は自分の鼻の頭を掻きながら、メモを覗き込む。
「単純に偏が違いますよね」
「偏か。
もし部首にキーがあるのだとすると、【百】や【一】はどうなる」
「そっちには偏も冠もないですね。
それじゃ、漢字の画数ですかね?」
「なるほど」
小林の意見を受け、聖は一文字ずつ画数を数えた。
百:6
花:7
鑑:23
影:15
一:1
瞬:18
「お手柄だ、小林巡査」
聖はそう言って、今度は2行目の文章に印を付け始める。
【ワ】 イ ル ド な 【ポ】【ー】 ズ で 私 の 敵 は ア 【タ】 ッ カ 【ー】 を ア シ ス 【ト】
それを見て、小林は目を輝かせた。
「そうか!
漢字の画数と同じ文字数のところを拾って読むんですね!」
「そのようだな。
まずは6番目の文字が【ポ】、7番目が【長音(ー)】」
小林が興奮して聖の後を継ぐ。
「23番目が【ト】、15番目が【タ】、1番最初が【ワ】、そして18番目もまた【長音】!」
「つまり次の暗号のありかはあそこだ」
聖は車のフロントガラスの向こうに見える【千葉ポートタワー】を指差した。
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