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橘利之失踪事件はこれより私が指揮を取る。
捜査本部はこのままここ港署に置く。
何か質問は?」
新田が何か言い掛けたが、東はそれを制して「ありません」と言った。
「よし。
時間がないことは承知している。
捜査会議は省略する。
各署に通達。
捜査員を掻き集め、4年前の利之の情報を収集、及び利之の病院付近での聞き込み。
他に何かあるか?」
横田と名乗った男は、東を睨むように見つめる。
「私の部下の話では、利之は4年前、ある製薬会社の新薬のテスターとして働こうとしていたようです。
この製薬会社が何なのか、調べる価値があると思います」
「了解だ。
千葉近郊の製薬会社の情報を片っ端から調べろ」
「私は、県警の捜査四課の課長に話を訊いてきます」
横田は東から視線を逸らし、「早く行け」と手を払う。
東は再び横田に敬礼をした。
すると横田は小さな声で言う。
「お前の誇り、お前の近くで見させてもらうぞ」
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