捜索の章 第5部

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 細流は1人、クラシックの調べの流れる喫茶店でチョコレートパフェを食べていた。 広くない店内の一番奥。 細流はそこで、スプーンを使ってゆっくりと生クリームを口に運ぶ。 と、細流のバッグの中で携帯電話が震えた。 細流は艶のある自身の唇を舐めて、携帯電話を取り出す。 「はい」 『どういうことだ?』 電話の相手は無駄なやり取りなく、いきなりそう言った。 「なにがでしょう」 『言わなくても解るだろう。 俺はガキの頭の中にある情報が欲しかっただけだ。 何でガキごと攫った』 「彼が素直になってくれなかったからです。 彼は忘れたと言っていますが、少し刺激を与えれば話してくださると思いまして」 『ふざけるな。 既に警察も動いている。 下手をすれば奴の経歴から俺の所まで手が回る』 すると細流は美しく微笑んだ。 「大丈夫だと思いますよ。 製薬会社【サンセット】は【鹿鳴会(ろくめいかい)】と直接関わりはありませんし、既に倒産しています。 それに、何故かあの事に関わった人達の多くは事故死、または自殺しています。 西上(にしがみ)さんのところまで辿り着くには、相当の時間が掛かる筈です。 その頃には全て終わってますよ」 『だといいがな』 「それと、お電話はお控え下さい。 何処で誰が聞いているか分かりませんから」 『解った』 そして電話は一方的に切れ、細流は再び微笑む。 「こんなところで、平気で電話に出る私も私ですけどね」 そう小声で呟いて、細流はまたチョコレートパフェを食べ始めた。
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