ひとめぼれ

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ひとめぼれ

「まりなー。帰ってる?」 私の彼氏はとても優しい。 金曜日の夜、一人でいった行きつけのバーで声をかけてくれた彼。 それは彼の一目惚れだったようで、初めて合ったにも関わらず意気投合。 そのままお付き合いするようになって一ヶ月。 私の手には、優也の家の合鍵がひとつ。 「うん。勝手に入っちゃった。」 私の家ではないのに、さも一緒に住んでいるかのように言ってくれる優也が好き。いつでも来ていいんだよ、と笑顔で言ってくれる優也が好き。 「あー、そうだ。俺、ケーキかってきたんだけど。食べる? まりなの好きなやつ。」 「ほんとっ! やったっ。」 大人げなく喜んで、優也が持つ白い箱をうけとる。 ん? いつもよりちょっと重いような。 首を傾げ優也を見ると、分かっているというように、くすり小さく笑う。
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