第11話 ずっと片想い

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朝一番で飛び立った飛行機を降りて地下鉄で移動し、電車に乗り換えて南へと下っていく。 姫良は窓際の席に落ち着いて外を眺めた。 乗り物や建物のなかの冷気と、外の溶けそうな熱との温度差で、よけいに躰が疲れそうだ。 ちまたの盆休みは終わっているうえ通勤時間帯をちょっと越えたから、電車はぎゅうぎゅうという混雑がなくて、席に座れたぶんまだましだろうか。 ビルの合間を抜けだすといろんな町並みを越えていく。 「紘斗、福岡って東京とあんまり変わらないね。言葉は違うけど」 すぐ傍の出入り口に立った男の子たちのお喋りは、まるでイントネーションが違っていておもしろい。 意味不明の言葉を聞くと、いまからのことを思ってちょっとだけ不安になる。
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