第11話 ずっと片想い

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「地味なお祭りは、伝統っていうよりならわしって感じでいいね。食べる?」 姫良は梅味の飴を口に含んでから、スカートの上にのったお菓子を指差す。 紘斗は、 「おれはいい」 と首を振って続ける。 「東京にも残ってるとこあるんじゃないか。開けたとこばかりにいるからわからないだけで」 「そうかも。今年、紘斗と初詣した神社もそういえばいい感じだった」 「あのとき、おまえ、逃げた」 「……え?」 「前進したなってことだ。今日は誘っても来ないかもしれないと思った」 確かに、半年まえなら避けていたかもしれない。 けれどいまは―― 「紘斗のこと、もっと知りたいと思ってるから」 「そう思われるほど、いま隠してることはない」 「ある!」 姫良がすぐさま紘斗の云ったことを否定すると、隣から怪訝な面持ちで見下ろされた。
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