第11話 ずっと片想い

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「そう思われるようなことされてないし、してないけどな」 やがて、紘斗はぽつりと云った。 そして―― 「姫良、貴刀社長も同じだ」 と静かに云い、今度は姫良が黙りこんだ。 あまりに長く離れていると、どんなふうに触れていたかも話していたかもわからなくなる。 嫌いとはけっして云えなくて、かといって近づくこともできない。 互いがどちらも気づかないまますれ違ってしまえば、追いかけることも呼びとめることもかなわない。 それならば、片想いでも、その気持ちが在るだけで繋がっていられるのだろう。 ただ、いつか貴刀家が苦手ではなくなるときがくるのか、姫良には想像もつかない。 ふと、川面から寝そべった紘斗に目を移すと、さほど姫良が黙っている時間は長くなかったと思うのに、その目は閉じられていた。
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