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姫良が福岡までやってきたのは観光のためではなく、紘斗が日帰りで盆帰省をするのについてきたのだ。
正確に云えば、紘斗が誘ってきた。
これから紘斗の祖母の家を訪ねる。
「だな。規模がちょっと違うくらいでそう変わるところはない」
「紘斗はどれくらいこっちにいたの?」
「中二から高校までちょうど五年だ」
姫良は何気なく、その頃の自分と比べてみた。
紘斗が十四歳になる年、姫良は八歳だ――
と考えると、あとは思いだそうとするまでもなく、即座に共通点を見いだして目を丸くする。
首を傾けて紘斗を覗きこんだ。
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