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――さみしくないですよね?
草の薫りにささやかな水流の音が混じる。
ああ。さみしくない。
応えるたびに、嘘吐きだ、とだれかが指を差す。
どうせ独りなら独りでいることのほうが何より安らぐ。
そう思っていたはずが――。
胸に感じる重みに手を触れた。
温かさはいつも途切れることはなかった。
「キラ」
つぶやいたとたん、キラは大の字で寝ていたのか、胸の上から素早く重みが消え去った。
猫のくせに、仰向けという無防備な恰好に気づくと恥じらいを感じるらしい。
が――。
「重かった? ごめん」
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