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思いがけず言葉が返ってきて、紘斗はぱっと目を開いた。
眠っている間に時間が退行していた。
場所が場所だからなのか。
ほぼ真上から笑って覗きこむ姫良が目に入ると、“ずっと”、そんな言葉が口を突いて出そうになる。
ずっと――
そのあとに続く気持ちを言葉にするなら何がいちばんふさわしいだろう。
「悪かった。ここでよく寝てたんだ」
「悪いことない。子供っぽい紘斗の顔が見れたから。わたしも眠くなったけど、紘斗のこと、襲われないように守らなきゃって思って」
姫良はふざけて首をすくめる。
そう――
おれはずっと守られていた。
さみしくないという強がりを知っていたのは紘斗自身だ。
足掻いている間に姫良は紘斗の記憶をなくし、それでも姫良は紘斗を繰り寄せた。
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