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キラがそうするように、つかず離れず付き纏う姫良。
あまりに長い間、独りでいたからしばらくは素直になれなかった。
嘘吐きだと自分から指を差される自分が、逃げない、と決められたのは、姫良が憶えていなくても深層で気持ちを共有してきたと知ったからだ。
それは、紘斗の勝手な切望が見いだしたことかもしれない。
ただ。
いろんなところからいろんな人間が雑踏する場所で、ふたりが交差したあの時は偶然で、それならば、偶然と必然は対義語じゃなく同義語だ。
そんな結論に、長かった片想いの時間も報われている。
「姫良」
続けた“ずっと”――その言葉は音にならず。
「何?」
聞きとろうとして無意識に近づいてきた姫良の顔を引き寄せた。
小さく悲鳴をあげて開いたくちびるをふさぐ。
ずっと会うかもしれない時を待ってきて、そうなったところで落ち着かない。
片想いという気分は、これからも、ずっと、続いていくのだろう。
-The end.-
Will be continued in the next time.
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