7人が本棚に入れています
本棚に追加
「おれと、結婚してくれ」
緊張した声で、達彦(たつひこ)は言った。
裕子(ゆうこ)は目を大きく開き、口を少しだけ開けて、表情がかたまった。喜びと戸惑いで、何も言うことができないのだろう。
人生で、最も幸せな瞬間の一つのはずだ。
数秒の間があり、我に返ったように裕子はこくりとうなずくと、
「はい」
と答えた。
二人にとって、新たな人生のスタートだった。
と、思われたのだが。
最初のコメントを投稿しよう!