走馬灯で知った最後の言葉

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 達彦の告白から一週間が経った日曜日に、二人は買い物にでかけた。  達彦と裕子は同じ会社に勤めていて、職場で出会い交際を始めた。達彦が二十七歳で、裕子は二十五歳だ。  裕子は社長の一人娘で、彼女を狙う男性社員が多数いるなか、達彦が彼女を射とめたのだった。  裕子は社長の娘という特別な存在にもかかわらず、他の社員に対して偉ぶったところはなく、謙虚で、まじめで、やさしく、誰からも好かれる女性だった。
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