7人が本棚に入れています
本棚に追加
プロポーズから一週間、裕子は式場のパンフレットを数冊持参してきた。昼食を食べながら、式の日取りや、内容を楽しく語り合った。
幸せだった。
「そろそろ、時間」
裕子が腕時計に目をやって言った。
まだ四時前だが、裕子はこの後、家族で食事にでかける予定だということだった。
「駅にいこうか」
達彦が名残惜しそうな顔で言った。
駅のホームで二人は電車を待った。
「今日、お父さんとお母さんに、結婚のことを報告しようと思うの」
裕子が、横に立つ達彦を見上げて言った。
達彦は嬉しそうな表情になり、
「近いうちに社長と奥様に御挨拶に行きたいから、都合のいい日を聞いておいてよ」
と言った。
「うん」
裕子は弾んだ声を返した。
最初のコメントを投稿しよう!