走馬灯で知った最後の言葉

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 プロポーズから一週間、裕子は式場のパンフレットを数冊持参してきた。昼食を食べながら、式の日取りや、内容を楽しく語り合った。  幸せだった。 「そろそろ、時間」  裕子が腕時計に目をやって言った。  まだ四時前だが、裕子はこの後、家族で食事にでかける予定だということだった。 「駅にいこうか」  達彦が名残惜しそうな顔で言った。  駅のホームで二人は電車を待った。 「今日、お父さんとお母さんに、結婚のことを報告しようと思うの」  裕子が、横に立つ達彦を見上げて言った。  達彦は嬉しそうな表情になり、 「近いうちに社長と奥様に御挨拶に行きたいから、都合のいい日を聞いておいてよ」  と言った。 「うん」  裕子は弾んだ声を返した。
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