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「…………」
裕子が何かを口走った。
「えっ」
達彦は、裕子がなんと言ったのか聞き取れなかった。
隣に立つ裕子の顔に視線を向けようとした。
そのときだった。
達彦の背中に、重い何かがぶち当たってきた。
そのまま押されるようにして、力が体に加わる。もつれるようにして、達彦の足が二、三歩、前に踏みだした。
とっさのことで無防備だった達彦は、何も抵抗できないまま、されるがままにホームから線路へと突き落とされた。
なぜ……。
達彦の頭には疑問だけが浮かんだ。
線路に落ちながら、自然と顔が後ろに向いていった。
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