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目の前の情景を、達彦はただ眺めていた。
悲しかったり、楽しかったり、おいしかったり、眠たかったり、そういった感情にひたすら流されている感覚がしばらく続いた。
達彦は赤ん坊だった。
時間が流れ、立って歩けるようになった。
いつの間にか、弟ができていた。
幼稚園に通い始めた。
小学校に入学した。
運動会で、徒競争で一番になった。
動物園に遠足にいった。
卒業式で泣いた。
達彦は、走馬灯(そうまとう)を見ているのだった。
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