第1章

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居座るよりもまだ遠く 隠した響きに今日は似ている それぞれの喜びは紫陽花に残る天道虫 私もまだ子供でいたい想いが近く 枇杷を握っては 開いてみる 寄る辺ない光に群れる虫達のざわめき 懸命に肺に溜め込んだ屈辱は 欠片さえ残せない夜を急速に反転させた 格納庫に充満する黄色い吐息 虚数が雪崩れ込む地下水路 名店を貪る卑屈な山猫 白濁した記憶が余所見をする間もなく 爪先まで侵入してくる 私は時と夢を跨いで 蛞蝓みたいに 忘れてゆくのだimage=494758953.jpg
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