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『君も盛り上がらなかった側だよね』
舞は振り返り先ほどの○○大のメンバーの1人だとわかった。
『君も人数合わせに?
僕もなんだよ、引き立て役?みたいな』
この人ずっと飲んでたからお酒臭い、舞は空いてる手で鼻に手を当てた。
優香!河田さん!
お母さん!
捕まれた手を振りほどいて走るがショートブーツではスニーカー程に速く走れない。
『スカートだし!』
やはり数㍍で手を捕まれグイグイと引っ張られていく。
『このキャップ男!あたしには彼がいるんです!
離してください!』
『彼?だったら合コンなんか行かせてずいぶん寛大な心の持ち主で。
それとも、あんたに興味ないか』
『言わないで!河田さんはそんな人じゃない!』
けど電話もメールもなかった事、あたしを合コンに行かせて良かったの?
ねぇ、河田さん。
舞の目に涙がにじんだ。
キャップメガネ男はグイグイと舞を引っ張っていき、建物の前で手を離した。
『チッ電話かよ』
今よ!
振り返らない!
走るの!舞!
もう少しで合コンをした店にたどり着こうとした時、キャップメガネ男が走ってくる。
優香!河田さん!
お母さん!
『手間をかけさせんなよ。走るのも息がきれるからさ。合コンの憂さ晴らしお互い?
23で初めてでもないね?』
手をまた捕まれた!
『助けて!助けて下さい!』
『黙れ!』
『黙らない!誰か助けて下さい!』
お母さん!優香!河田さん!悪魔でもかまわない。
もう走れない、男に引っ張られるがままのあたし。
この男に初めてを奪われるなんて嫌!
『お母さん!優香!河田さん!悪魔でも良いから助けてよ!
あたしもう走れない』
腕を引っ張られながら諦めからうつ向き、道路を見ていた舞の目から涙が落ちた。
初めてはこの男じゃない!その思いから舞は男の手を振りほどいてまた走った。勢いまかせに走っていたキャップメガネ男は、
手を振りほどかれたはずみで道路に手をついた。
『あの女っ!』
合コンをした店まで後50㍍、その先でタクシーをひらおう。
だが少し飲んだチューハイがまわって舞は店の前で転んでしまった。
振り返るとキャップメガネ男はすぐ側まで来ていて、また舞の腕を掴んだ。
もうダメかもしれない!
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