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ここ何日か悪魔と顔を合わせたくなくて、定時の出勤時間より10分早く部屋を出ていた舞だったが朝寝坊した今朝は違った。
今朝の舞は制服のリボンを結んでいたがうるさく執拗にチャイムを鳴らす音にイライラしていた。
『うるさいっ!防音設備は外にはないのよ!
苦情きたらどうするつもりなの!』
コートを羽織りあわててショートブーツを履き、合コン用の服を入れた紙袋を持ってドアを開けた。
時間は8:40!
開けられた勢いで鼻をぶつけ舞を睨む悪魔。
『退いて!遅刻だわっ』
『舞!鍵っ忘れてる!』
舞は通路途中でイライラと引き返し、バッグから鍵を取り出し鍵を差し込もうとしたが。
『もうっ!』
『貸して、イライラしてるから手元が狂うのよ』
悪魔が舞の鍵を取り鍵をかけてやった。
『まったく朝から世話が妬ける』
『あなたが勝手に来てるんでしょ?あたしは頼んだ覚えはないわ』
悪魔は苦笑し舞の制服のリボンの結びをほどいた。
『何するの!?遅刻なのよ!』
『今朝はどんなにあわてていたのかしらね、リボン結び直してあげるってのよ。髪のリボンも曲がってる。松本拓也にでもなった気分よ』
『松本拓也?』
『有名なスタイリストよ』悪魔は2つのリボンを直し舞を抱き上げて走った!
『降ろして、降ろしてってば!』
『舞自身がうるさく叫んでどうするの?アパートに居られなくなったのは音なのよ。
防音設備しっかりしてても舞自身原因を作るつもり?』
『あっ…』
『あたしにしっかり掴まってなさい。
車まで入るわよ』
『あ、りがとう』
『弁当持っていかないからウエストあたりきつそうね、太ったんじゃない?』
『なっ!』
実際そうかな?と思いはじめてただけに舞は顔が赤くなった。
『悪魔のバカ!』
悪魔…もとい、相川は舞を降ろし前を留めていないコートを指指した。
『車に乗ってる間に前を留めなさい。
だから制服姿を見られてダメ出しをされるのよ(笑)』
裏道を会社へと走らせながら相川は笑った。
舞は荷物を足元に置きコートの前を留めながら相川を睨んだ。
『余計なお世話です!』
『小さいのによく叫ぶわねぇ、掴まってなさい。
スピード上げて間に合わせるから』
勤務時間2分前、相川は会社の前に車をつけた。
『舞、お弁当』
いらない!って言うのも時間ギリギリで、舞は受け取り車から走り出した。
相川は窓を開けて舞の後ろ姿を見ていた。
『転ぶわよ!』
まったく目が離せない仔猫ちゃん、長谷川舞。
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