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ぬこ、好き。
ぬこ、という響きが好き。
だけどぬこっていうと一般人の人がわからないから説明するのにねこって言わなきゃいけないのが、やや憂鬱だった。
「ゆーな、学校遅刻するわよー?」
「はーい」
答えて、階段を疾走。
一気に一階に降り立ち、足を揃えて両手を天に。
体操選手の決めポーズ、完璧。
お母さんはいつものようにニコニコ笑って、パチパチ手を叩いてくれる。
お父さんは新聞を少しずらして、眉を曲げる。
お父さんお母さん、大好き。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい、ゆーな」
「ん」
三者三様の声に、わたしは道路に降り立つ。
そして学校へ向けて、疾走。
わたしはぬこになりたい。
ぬこみたいに、生きたい。
三年前の、あの日から。
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