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それは彼と私が付き合って1週間ほどのことだった。
「俺たち、別れよう。」
……………………
……………………
……………………えっ。
本当に突然の出来事で。
彼の言った言葉の意味を、私の頭が理解するのに時間がかかった。
「……なんで?」
彼は優しくて、かっこよくて、何より私のことを本当に大切にしてくれて。
まだ付き合って1週間だけど彼の良いところがいっぱい見えたのに。
「……私なにかダメだった?」
と言った一言に彼はすぐに切り返した。
「ダメなところなんてないよ。
……ただ、これは俺の責任だ。
初めからこの恋は始めるべきじゃなかったんだ。
……本当にごめん。」
と言って彼は深く頭を下げた。
彼の真剣な表情を見れば見るほどこれは現実なんだと思わされる。
彼も私も大人で。
ここで泣きわめいてもなにも解決しないことは分かっていたのに。
気づけば私の目からぼろぼろと涙がこぼれていた。
……私は、この恋を簡単に終わらせたくない。
……ちゃんと話さなくちゃ!
「責任ってなに?
ちゃんと分かるように説明して!」
彼は考え込んだように黙った。
「ねぇ、私には言えないことなの?」
変な想像ばかりしちゃって私の心は落ち着いてくれない。
「そうじゃないけど…………。」
「なら、はっきりいってほしいよ!
…………私のこと嫌いになったんでしょ?」
変な考えばかり浮かんできて、気持ちが先走ってしまう。
もっと冷静になって話さなくちゃって頭では分かってるはずなのに。
「違うよ!嫌いになんかなってない!
今でも大好きだよ!」
こんな時なのに、否定されたことが嬉しくて。
「じゃあ、何でなの?」
「分かった。言うよ。
でも、今から俺が言うことを信じてほしい……。」
「……うん。分かった。」
涙が止まることはなかったが、彼はいっそう真剣な顔になったので私も彼の顔を見てちゃんと頷いた。
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