終わりと始まりはいつも突然で。

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「信じられないかもしれないけど俺は時間に閉じ込められた人間なんだ……。 俺たちが付き合った5月9日の2日前、つまり5月7日から5月16日の10日間から抜け出せないんだ……。」 「閉じこめられている……?」 私が想像していた斜め上の理由に少し戸惑いながらも聞き返す。 「……うん。 5月16日が終わる前の11時59分59秒を迎えると5月7日に戻されるんだ。 過去に戻ってるってことを認識してるのは俺だけで……。 理由は分かってない。」 「戻される……。」 彼の言っていることがあまりにも現実離れしていて……。 ……この状況を頭で整理することで精一杯だった。 (戻されるってどいうこと?) (そんなことってありえるの?) (信じきっちゃってもいいの?) (彼が嘘をついてるとか?) 私が黙って少し考えていると彼が。 「こんなこと急に言われても信じられないよな。 ただ、一つだけ分かっていることがある。 前、過去に戻った時に分かったんだけど、俺と関わりすぎた人間は一緒に過去に閉じこめられてしまうんだ……。 だから……。 俺と分かれてほしいんだ……。」 彼がまた、深く頭を下げる。 「ちょっとまって、なんで一緒に閉じこめられてるって分かったの?」 私は純粋な疑問を口にする。 「それは、過去に閉じこめられてから2回目の時に俺は家族にこの事を相談したんだ。 でも、両親は信じてくれることはなかったが妹は違った。 妹だけは「お兄ちゃんがうそつく訳ないから」って俺の話を真剣に聞いてくれた。 そして、一緒に脱出する方法を探すっていってくれたんだけど5月16日になってもあては見つからなかった。 そして戻された、5月7日。 妹も一緒に過去に閉じこめられていた……。」 「……そっか。」 いまだに信じきれてない自分がいるけど、もしこれが本当だったら彼は相当辛かったはず……。 「でも今、妹さんはどうしてるの?」 「妹は過去に戻されてから一度も関わらないでみたら元に戻ってたよ。 だから、このことを知っているのは俺だけだ……。 これが俺のわかってる全てのことで別れてほしい理由だよ……。」 「……うん。 ……私は信じるよ!」
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