プロローグ

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月も星も見えない曇った夜を飛ぶ蝶。 誰にも見られず、誰にも気づかれず、肩に留(とま)った。 私の半身のような特別な存在、とは言えないから。 留った事も気づかれない、 貴方は右肩に留る蝶の様な存在。 私が散々利用した義弟。助走をつけて飛ぶために利用したの。 私だけ飛び立った。逃げられたと思っていた。 「俺の命令に逆らっていいんだ?」 なのに私は羽根を握られた。 千切られる? 折られる? ――捕らえられる……。
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