およそ、数え切れないくらい。

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僕の雑記 とりとめのない事柄を綴ったもの。 僕。領主の娘、ベロニカ・ヴァレッタに使える小間使い、従僕。彼女とは幼馴染のようなもので、物心ついた時から色んなことを共に経験してきた。その当時はまさか領主の娘だっただなんて夢にも思わなかったけど。彼女の抜け出し癖はこのころから健在だったようで、既に領主様もお手上げのご様子。彼女の希望で僕は奉仕に出ることになり、彼女のお目付役となった。 ベロニカ・ヴァレッタ。領主の娘で僕の幼馴染のようなもの。悪友ともいう。客観的な意見を言うと、彼女はおおよそ善悪の判断がつかず命に価値を見出せない狂人だが、僕は可愛らしいお嬢さんだと思っている。最近は可愛らしいというより綺麗のほうが適切かもしれない。容姿は端麗。力も強く、僕より走るのが速い。身体能力で追いつける人はたぶんこの街にはいないだろう。 領主様。僕が仕える人であり、このヴァレッタを治める一番偉い人である。ベロニカが夜に水浴びをするのは幼少期からの日課のようなもので、さらにそれを止めさせると三日は口をきいてくれなくなるので注意するだけに留めてもう諦めた様子。殺人鬼が出没することに胸を痛めており、人口の低下および流失を防ぐためになんとしても殺人鬼を捕らえたい……と以前の会議で苦しそうに仰っていた。自分の娘が夜な夜な街へ繰り出していることを知っているのか知らないのか何も言ってこないが、殺人鬼の正体に気がついているかどうか、果たして……
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