アバムの野

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アバムの野

 ある朝、牛飼いのアバムが目覚めると、そこは見たことのない草原の上であった。 「はて、ここはどこだ」  アバムは背伸びをして辺りを見回すも、草の大地に風が流れる音がする以外に何も感じず、彼は泣き出しそうになった。  つのる不安にかられて、アバムは歩き出した。 右も左もわからないが、ただ立ち止まることが恐ろしくて、彼は宛もなく歩き始めた。  しかし、歩めども、歩めども、景色は変わらない。 ばかりか、この草原は終わりのないように思えた。 「ああ、神さま。いったい私が何をしたというのでしょうか」  ついにアバムは膝をついて、天におわす神さまに、こう問うてみた。 が、風の流れる音が聞こえるばかりで草原は答えてくれない。  雲一つない青空の下で、アバムは涙をこらえられなくなった。
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