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※※※
アバムの里の中心部には古井戸がある。
井戸の隣には石碑が置かれていた。
そこにはこう記されている。
この地をアバムの野と呼ぶ。
その昔、神にその身を捧げて、自らを牧草に生まれ変わるよう願い出た牛飼いがいた。
その者の名をアバムという。
里の者は皆、牛飼いと牛に幸福をもたらした彼を讃えて、この地をアバムの野と呼ぶ。
この野に、緑が絶えることはない。
牛は皆元気に育つ。
この地は牛飼いにとって、幸せの絶えることのない地となった。
最後に、石碑の文はこう締めくくられている。
我々は感謝している。
どうか、アバムに幸あれ。(了)
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