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「今日は楽しかったわ」 「僕もだよ。おかげでチケットをムダにしなくて済んだ」 良い記念日になった―――とは、あえて言わないでおく。そうしなければ、少し目が赤く腫れた彼女をまた、泣かせてしまうだろうから。 「感謝してよねー?今度は可愛い彼女と行くのよ?」 「そっちこそ、かっこいい彼氏と行くんだぞ?」 ハハハとお互い、顔を見合わせて笑った。やっぱりこうでなくちゃな、僕らは―――と少し懐かしんでいる僕をどうか許してほしい。 彼女もこう軽口を叩いてくるあたり、もうケリがついたのだろう。 やがて笑いが止み、沈黙が僕ら二人の間を包む。 ……その沈黙に耐えられず、僕から話を切り出した。 「じゃあ、最後に一言言うか」 「そうね……」
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