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そんなような話を何分かして、「ねえ、気づいてる?」と、彼女は寂しそうに窓を見つめて、次の話に持っていった。
「明日で、結婚して10年だったのよ」
「知ってる」
「……そうよね、あなたはそういう人だったわ」
カカカと笑ったら、彼女はため息を吐いてそう返してくる。
…………僕だって、何か考えてはいたんだぞ――とは流石に言えなかった。が、無駄になる前に一つ提案してみようとも思って。
ごくん、と一回つばをのんでから、彼女にあるモノを差し出す。
「……何これ?」
「――――僕と一緒に、最後のデートしませんか?」
僕なりに真面目に言ったつもりだが、彼女は目をぱちくりさせて、フハハと笑う。それから、ゲラゲラゲラゲラ。
…………あ、これは真面目に思われてないパターンか?なんだ、そんなおかしいのか?
そんなことをグルグル考える。
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