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……船の中では、既に優雅にパーティが始まっていた。 「まぁ!想像以上の賑わいね」 「そうだな、ここまでとは思ってなかったよ」 「私も」 ……………僕らが、いや、ここにいるみんなのコースは、『アサヒナ主催、日帰り一周パーティ~豪華船で~』というものだ。 『天下のアサヒナ』と有名なだけあって、料理の質、従業員の対応、照明などの私たち客の細かいところの気配りは悪くない。 「……ねぇ、一緒に踊りましょうよ?」 他の人も踊ってることだし、と彼女は耳元でささやき、にっこり笑って、手を差し出す。 「そうだな、折角だし踊ろうか」 彼女の手を引き、ファーストポジションをとって、僕たちは周りを気にせず、踊り始める。 「……懐かしいわね、あなたとこうして踊るって」 「僕もそう思ってたところだよ」 彼女はうふふ、と笑み、僕も同じように笑う。……彼女の笑みが少しだけ寂しそうに、影を帯びていることに気づかないフリをして。 「結構、ここ料理に凝っているのね」 「メニュー数、多いよな」 「えぇ、びっくりしたわ……あなた、いつチケットを?」 「内緒」 「意地悪ね」 「……お互い様だろ?」
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