第九話 DX MAX CLIMAX

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♯  美怜と二人で走っていると、 「──おー美怜ちゃんじゃーん」  美怜の表情が強張る。その声の主を見ると、微かに見覚えのある男子。瑞生を傷つけた張本人だ。 「……アンタ、何様のつもり」 「そりゃあもちろん……ってお前!」  俺を確認すると男子は左右を何度も見回して、 「……あいつはいないな」  鶴木のことか。 「……」  美怜の手が微かに震えている。 「それはそうと美怜ちゃー……」 「行きましょう、妹さん」 「え……う、うん」  踵を返す。今ここで会話をするのは得策じゃない。 「お、おい……待てよ」  美怜の手を掴みかけたのでその手を捻り上げる。 「いだだ……!」 「これ、なんですか」 「は、離せ……!」 「……この前言った通りです」  携帯をチラつかせる。嫌だがボイスレコーダーから音をコピーしてある。 「ちっ……クソが」  そのまま男子は去っていった。 「……行きましょうか」 「………………」  美怜が困惑した顔で俺をみる。俺は何も知らぬふりで駆け出す。美怜は黙って並走した。
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