5 再・空の上

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 空の上で、傍観者はその一部始終を眺めていた。 鳥籠から腐敗の大地へ墜落した少女は、運よく大地で協力者を見つけたらしい。 特に何の感慨もなかった。そういう者は大勢いる。  少年が墜落者を斬りつけた時はさすがに、片眉をあげてしまった。 人に対して突然攻撃を加える人間は、滅多にいない。 暴力を好む人間も、確かに腐敗の大地にいることはいるのだが。  少女が崖を登り始めるのを見て、傍観者の口元に微かな笑みが浮かんだ。 少女はこの先、何度落ちて何度諦めることだろう。 墜落者は禁忌を犯した者だ。 そう簡単に空へ来ることなどできやしない。 だが、鳥籠の外へ出られたということは、空に手が届くチャンスをつかんだということでもある。 あの少年は、少女をどこまで支え続けるだろうか。 腐敗の大地にいる人間だが、空にいてもおかしくはなさそうな人間だ。    清廉で穏やかで柔らかな光に満ち溢れるこの空は、選ばれた人間しか存在を赦されない。 だが空を目指すことは、腐敗の大地の人間にも等しく与えられた自由だった。
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