第1章

3/8
前へ
/12ページ
次へ
そんな言い伝えをひいおばあちゃんから聞いたのは、もう30年も前。 ひいおばあちゃんはとうに亡くなり、17回忌も終えた。 私は27才で嫁ぎ、一人目の娘を生んだが、7つの時にその短い生涯を終えてしまった。 私は娘が死んでから、毎年お盆になると、ひいおばあちゃんに教えられた魂の川との異名をもつ三瀬川の川原へ来ては、石を積み上げ、娘の気に入っていた人形を乗せる。 バランスが難しくて、すぐ石が崩れてしまう。 「今年こそ」 毎年毎年失敗していたが、今年はバランスを考えて上手に塔となった。 私は慎重にお人形を塔の一番上に乗せると、初めて崩れなかった。 「やったわ。これで、娘の真千代に会える」 私は川面を眺めた。 「………」 何も起きないまま夜となった。 あたりはもう真っ暗で、川の流れる音しか聴こえない。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加