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「いい?ちゃんと周りを見ながら何もせずに家に帰る事。分かった?」
もう毎日のようにしている、帰る前の正門前でのやり取り。真紀は夢香に人差し指を立てて言う。
「はいはーい。寄り道せずに帰りまーす。」
「……本当だよね。」
「ほんとだよー。」
そんなに私は信用が無いのか。夢香が落ち込む。
「あ、ごめん。私が悪かったから泣かないでよ!?」
「え、もしかして顔に出てた。」
「うん、出ていたよ。」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、仕返しに、
「このお母さんめ。」
と、彼女が嫌うセリフを吐く。
「違うから!」
「お母さん、まだ帰んなくて大丈夫なの?」
「あ、そうだ買い出し行かなきゃ。ゆめちゃん、またね。」
「また明日ね―。」
真紀がかえるのを見送り、夢香も駅に向かい歩き出す。
マンションを通り過ぎた後、どこかから声が聞こえた。
「もうそろそろかぁ。」
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