第1章

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数年後。 「そろそろだ。」 「えーと、なにが?」  夢香がもう大人になった夏。朝彼女が起きたら、マヤが呟いた。 「何ってあれだよ、あの、僕がここに来た理由のやつだよ。」 「えーと、世界のために何かするんだっけ。」 「僕は見届けるだけだよ。」 「そうだっけ?」 「そうだよ。」  悲しそうな顔をするマヤ、夢香はつられて悲しくなる。 「どうしたの。」 「何でもないよ。ごめんね。」  突然謝られて困惑する夢香。 「謝るような事してないよ。」 「うん、そうだね。」  まだ、してないよ。 「ごめんね。」  マヤが無理に笑顔を作る。  突如、地面が揺れ始める。 「な、なに?地震?」  軽かった地震は、揺れが激しくなり、地面が割れる。どこかで爆発音が聞こえる。人々の悲痛な悲鳴。 「なんなの?何が起こってるの?」  わけのわからない事態に頭を悩ませる。マヤを探し辺りを見回すと、もう、立っていられそうな場所が無いことが分かった。 「ごめんね。今の僕には何もできない。」  世界の人々は、焼け、挟まれ、溺れて、飢えて、死んでいった。  やがて、地球は崩れ去り、生き物は全ていなくなった。
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