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数年後。
「そろそろだ。」
「えーと、なにが?」
夢香がもう大人になった夏。朝彼女が起きたら、マヤが呟いた。
「何ってあれだよ、あの、僕がここに来た理由のやつだよ。」
「えーと、世界のために何かするんだっけ。」
「僕は見届けるだけだよ。」
「そうだっけ?」
「そうだよ。」
悲しそうな顔をするマヤ、夢香はつられて悲しくなる。
「どうしたの。」
「何でもないよ。ごめんね。」
突然謝られて困惑する夢香。
「謝るような事してないよ。」
「うん、そうだね。」
まだ、してないよ。
「ごめんね。」
マヤが無理に笑顔を作る。
突如、地面が揺れ始める。
「な、なに?地震?」
軽かった地震は、揺れが激しくなり、地面が割れる。どこかで爆発音が聞こえる。人々の悲痛な悲鳴。
「なんなの?何が起こってるの?」
わけのわからない事態に頭を悩ませる。マヤを探し辺りを見回すと、もう、立っていられそうな場所が無いことが分かった。
「ごめんね。今の僕には何もできない。」
世界の人々は、焼け、挟まれ、溺れて、飢えて、死んでいった。
やがて、地球は崩れ去り、生き物は全ていなくなった。
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