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「………」
相川は少し落ち着かない様子でベッドの横に積んであるCDやら机の上に置いてある参考書に目をやっていた。
……大丈夫だよな。見られてまずいようなものは外に出してないはずだ。
まあ、男同士なんだから見られてまずいものでもないが……
右手の甲を掻きながら、相川の横顔を見つめていた。
右手の親指の付け根あたりをたちの悪い虫に刺されたらしい。
赤くプツンと腫れたそこはとても小さいがかなり痒い。
相川が僅かに身じろぎをする。
静かな部屋にベッドが軋む音だけが響いた。
不意に、去年司書室で見た光景を思い出す。
――市野の首に腕を回す相川の後ろ姿。
あれは明らかに体育会系的なノリの抱擁でも冗談混じりのスキンシップでもなかった。
……もっと濃厚でいやらしい感じ。
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