美春君、風呂へいく

28/37
前へ
/99ページ
次へ
俺はノーマルだけど男同士の恋愛に偏見は持っていない。 この学校に入って何度か男同士の情事を目撃して最初は驚きもしたが、まあ男子校なんだからこういうこともあるのだろうと今ではそう思っている。(外で盛るのはどうかと思うが……) でも、あの司書室での光景を見たときの衝撃は忘れられない。 あの相川を見たとき、あの厭らしい水音を聴いたとき、 胸の奥がなぜかスッと冷えたような気がした。 何に対してかはわからないが不快だと思った。 教師と生徒が関係を持っていようが別に俺はアリだと思うし軽蔑はしないつもりだった。 ……じゃあ、何が俺の中でこんなにも引っ掛かっているんだろうか。 俺はただ市野のクソ野郎に古典のプリントを提出しなければならなくて行っただけだったが―― あのタイミングで司書室に行ってしまったことをひどく後悔した。 やがて沈黙に耐えかねた相川がそわそわし始める。 用は済んだんだし、帰るタイミングを伺っているのかもしれない。 自分の右手に目を落とすと、ピンク色に色づいた肌の中央に赤い点が浮かび上がっていた。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加