俺は吸血鬼

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物心ついたときには自分や家族が他の人間とは違うことを知っていた。 俺たちは山奥の遠野と呼ばれる隠れ里でひっそりと繁栄した一族の末裔らしい。 真っ白な肌と人間より少し発達している犬歯に、鋭い嗅覚と聴覚。 俺たちの存在を知る一部の人間は、血を好んで飲み、太陽の光を嫌うその性質にちなんで遠野を吸血鬼と呼ぶ。 洋画や小説に登場する吸血鬼にはいろんなものがいるけど、俺たちは特殊なフェロモンを放出することで人間を"誘惑"し、血液を頂く。 相手が死に至るほどの量の血を頂くなんてことは今時聞いたことがない。
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