甘い香りに誘われて

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新学期が始まって二週間たったというのに俺の後ろの席のやつはまだ一度も授業に出席していない。 「東(マズマ)だっけ?出席日数大丈夫なのかね……」 「……あんま大丈夫じゃないと思うけど」 「不登校?かな?」 不登校と聞いて、すごく大人しい生徒をイメージする。 俺と同じで人見知りなのかもしれない。 「今日、授業終わったら届けに行こっかな」 「俺も行こうか?」 「うん。…………いや、やっぱ一人で行くよ。一人の方が向こうも話しやすいかもしれないし」 「そっか」 なぜか優が嬉しそうに笑う。 「何?」 「いや、なんか……いいと思う。お前のそういうとこ」
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