甘い香りに誘われて

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「そういうとこ」がどんなところを指すのかわからないけど…… そんな言い方をされると照れる。 どう返せばいいのかわからなくなったから別の話題を探した。 「あ、そうだ……今日昼一緒に食べれない」 「ん。了解……どうした?」 「市野の手伝い」 「まじかー。今井も最近どっか行っちゃうしさ……ぼっち飯かよ~」 優が机の上に顎をのせ口を尖らせた。 「じゃあ、ゆうちゃん俺と食べよ!」 どこからともなく現れた山本が優の背中にのしかかる。 明るい髪をいつも整髪料かなにかで固めているけど、今日はセットの仕方が違うみたいだ。 毎日毎日、たいへんだな。 人間の毛根は俺たちよりかなり脆いって聞いたことがあるけど、山本は大丈夫なんだろうか。 「おう、いいけど……小野寺たちとは?」 「ん~、なんか将希機嫌悪い?……てか、なんかねー……うーん、よくわかんないっ」 「ふーん。……なんだそれ」 二人の会話を聞きながら何気なく廊下の方に目をやると、ちょうど小野寺が教室に入ってくるところだった。
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