episode158 イ・ソンジュ邸の魔法使い ①

29/30
前へ
/30ページ
次へ
「おっと、続きは僕にも聞かせてくれないか?」 いつの間にか。 音もなく僕の背後に ジュンが立っていた。 「……驚いた」 「すみません。猫みたいに足音がないとよく言われます」 頭から爪先まで極彩色の弟とうって変って。 ジュンは光沢のある黒髪と揃いの シックな濃紺の韓服に身を包んで現れた。 「遅いよ、お兄様」 「準備に時間がかかるんだ」 「ほらね、言ったでしょ」 「何を言ったって?」 「いえ」 その姿は見ようによっては たしかに魔法使いに見えなくもない。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加