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「おっと、続きは僕にも聞かせてくれないか?」
いつの間にか。
音もなく僕の背後に
ジュンが立っていた。
「……驚いた」
「すみません。猫みたいに足音がないとよく言われます」
頭から爪先まで極彩色の弟とうって変って。
ジュンは光沢のある黒髪と揃いの
シックな濃紺の韓服に身を包んで現れた。
「遅いよ、お兄様」
「準備に時間がかかるんだ」
「ほらね、言ったでしょ」
「何を言ったって?」
「いえ」
その姿は見ようによっては
たしかに魔法使いに見えなくもない。
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