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ファウストは、知るかと放り出したかった。
しかし、切って捨てる話題にしてはヨシュアの眼差しが真剣すぎる。
「卒業できたら何かあるのか?」
「もちろんです。うちの学校はシンドリーの国立で、好成績で卒業すれば就職先に困りません」
「……」
力説のわりに、理由は大した事がなかった。
「お前は永久就職が決まっている身だ。そんな心配は必要ない」
「本人に確認してから言ってください。第一、あの苦痛の日々を無駄にしろだなんて、どうしてこの俺に言えるんですか!!」
ヨシュアは、ドンとテーブルを叩いて強く主張する。
話を総合すれば、最後の理由が最大なのだろうとファウストは見当をつけた。
時には悲鳴を上げて錯乱するほど女嫌いなヨシュアだ。
身元を引き受けているからには、当然、苦労していたという状況も耳にしている。
「それで、試験はいつなんだ」
「確か、九月の中頃だったと思います。詳しくは確認次第お知らせします」
ヨシュアが答えると、ファウストは口元に手をあてて考え込んでしまった。
「どうかしましたか?」
「ああ、ちょうど半年だと思ってな」
「は?」
「いや、なんでもない。帰省の許可は出してやる。日程の予定を提出しろ」
「はい、ありがとうございます」
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