第一章

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ファウストは、知るかと放り出したかった。 しかし、切って捨てる話題にしてはヨシュアの眼差しが真剣すぎる。 「卒業できたら何かあるのか?」 「もちろんです。うちの学校はシンドリーの国立で、好成績で卒業すれば就職先に困りません」 「……」 力説のわりに、理由は大した事がなかった。 「お前は永久就職が決まっている身だ。そんな心配は必要ない」 「本人に確認してから言ってください。第一、あの苦痛の日々を無駄にしろだなんて、どうしてこの俺に言えるんですか!!」 ヨシュアは、ドンとテーブルを叩いて強く主張する。 話を総合すれば、最後の理由が最大なのだろうとファウストは見当をつけた。 時には悲鳴を上げて錯乱するほど女嫌いなヨシュアだ。 身元を引き受けているからには、当然、苦労していたという状況も耳にしている。 「それで、試験はいつなんだ」 「確か、九月の中頃だったと思います。詳しくは確認次第お知らせします」 ヨシュアが答えると、ファウストは口元に手をあてて考え込んでしまった。 「どうかしましたか?」 「ああ、ちょうど半年だと思ってな」 「は?」 「いや、なんでもない。帰省の許可は出してやる。日程の予定を提出しろ」 「はい、ありがとうございます」
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