海へ行く

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満タンのクーラーボックスをものともせず、ガッシャガッシャと音を立てて秋哉は先に立って走っていく。 その後ろ姿をため息をついて見送りながら、 「夏樹はパラソル、冬依はシートを忘れるなよ」 春一は残りの弟たちにテキパキと指示をくだした。 皮肉屋の夏樹や反抗期まっただ中の中学生の冬依なら、文句のひとつも口にしそうだが、命じる春一自身がクーラーボックスの次に重いビーチチェアをふたつも脇に抱えているから、誰も何も言わない。 来生春一とは、こんな男だ。
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