海へ行く

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「ええと、春さん。私にも何か手伝わせて欲しいな」 やっと声をかけるのが、この中で唯一、血の繋がりのない雨山鈴音。 血縁関係は無くとも、現在は春一の婚約者という立場である。 入籍は来生家の両親が帰国してからという話になっているが、すでにこの4兄弟と一緒に暮らしていた。 秋哉のテンションに押されて婚約者にも話しかけられない、少しぼおっとした性格をしているが、だからこそ逆に、恋人とふたりで『同棲』ではなく、恋人の家族と『一緒に暮らす』ことを受け入れられたのだろう。 春一はただ偉そうなだけでなく、家長としての責任感がやけに強い。 もしも恋人と、まだ中学生や高校生の弟たちを天秤にかけたのなら、苦悩しながらも弟たちを選んでしまうのが春一だ。 恋人の鈴音が何より優先になるのは、まだ少し先の話。
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