海へ行く

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混んでいる週末を避けて、平日を狙ってやって来たのだが、それでもハイシーズンの海にはかなりの海水浴客がいた。 海の家の更衣室を借りて水着に着替えた鈴音は、果たして4兄弟と合流出来るかしらとちょっと不安に思っていたが、 「ねえ見て。めっちゃイケメンがいる」 「何? なんかの撮影なの?」 「1、2、3、うわっ4人も。どこのアイドルグループよっ」 杞憂だった。 鈴音が見つけなくても、注目度ばっちりのイケメン揃いの4兄弟は、自然と人々の視線を集めてしまっている。 問題は、まったく普通の顔をした鈴音が、これからあの中に混ざらなくてはいけないということだが……。 「鈴音、こっちだ」 気後れして足を止めた鈴音を、春一の方が見つけてくれた。 満面の笑みで手を振って寄越す。 スチール写真バリにきまった春一の笑顔をまともに食らった女の子たちは、鈴音の周りで一斉に歓喜の悲鳴をあげた。 この雰囲気の中、春一に応えるには、鈴音にはけっこうな度胸がいる。
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