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シズクの身体は、消えかけていた。
一緒に帰りたい、その想いが叶う訳がない。
メグは握っていたシズクの手を放すと、互いに笑った。
「さようなら、シズク」
「さようならじゃないよ、メグ。水鏡の奥に、いつでも私はいるから」
そこで目が覚める。
お風呂場で気絶していたのか、床に寝転んでいた。
時間は何時かわからないが、陽は昇っていない。
数えなきゃ……。
目を閉じて、3秒。
シズクとの思い出を少しずつ思い出しながら、囁くように3秒数えた。
「1……2……3……」
数え終えた後、不意にスッキリしたような気分になる。
今まで濁ったような水の色をしていた浴槽が、綺麗になっていた。
安心したのか、急に瞼が重くなる。
メグはスマホを握りしめ、倒れこむように風呂場の床に寝転んだ。
スマホの壁紙は、シズクの姿がちゃんと写った3人の写真へと変わっていた。
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