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……ねぇ、知ってる?
水の向こうは、忌世界に繋がってるんだよ。
少女は笑いながら、教室で話している。
低く鳴るチャイムなど余所に、教卓に座っていた。
その少女の目線の先に、もう1人少女がいる。
「ねぇ、アキミ。知ってるでしょ?私、怖い話は苦手なの」
「知ってるから話してるんじゃない。メグは怖がりだな」
さっきまで笑っていたアキミは、まるで偽物かのように普通に戻った。
夏休み前の放課後。
高校最後の夏を満喫しようと2人で計画を練っていたのに、気付けばアキミは大好きなオカルト話に花を咲かせていた。
それをメグは、苦笑いで見ているしかなかった。
「アキミ、なんでオカルト話好きなの?」
「んー、怖いから?」
メグの幼馴染であるアキミは、昔からオカルト好きだった。
ネットで掲示板を見たり、友達から聞いたり、挙句の果てには実際に体験しに心霊スポットに行ったり。
怖いものが昔から大っ嫌いなメグにとっては、ついていけずにいた。
「で、今回は水?」
「そう!水を張ったお風呂を覗くと、忌世界が見れるんだって!!」
「い、せかい?」
アキミは目を光らせながら、聞きたくもない続きを話し出す。
何でも深夜0時、水を張ったお風呂を10秒以上覗くと、忌み物……幽霊や鬼が見えるらしい。
メグたちの学校で流行っている、都市伝説の一種だ。
それは『水鏡の怪』と言われ、メグたちより一世代前から噂されているという。
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