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「おやすみ、いい子にしてるのよ」
そう言って、両親は出かけていった。
午後11時、よい子はもう眠っている時間。
何だか悪戯する子供のように、メグの心はザワザワしている。
時計の針の音がやけに部屋に響く気もして、少し孤独でいるのが怖くなってきた。
そうだ、電話しよう。
メグはおもむろにスマホに手を伸ばし、電話帳からアキミの電話番号をタップした。
少し震える息を吐きながら、スマホを耳に当てる。
数回のコールの後、向こうから聞こえたのはいつものアキミの声だった。
『もしもーし、こんな時間に電話って珍しいじゃん。いつものチャットアプリじゃダメな急ぎの用事?』
「そんな事無いけど……」
いざかけたのは良いものの、何を喋ったらいいのかわからなくなっていた。
頭真っ白になり混乱していると、電話口のアキミが何かを察したかのように喋りだす。
『もしかして、放課後話した水鏡の怪にビビってるんでしょ!!』
「う、うん。実はそうだったりする」
少し違うが、あらかた間違ってはいなかった。
メグは少し、心の中でほっとしている。
やっぱり親友の声って落ち着くなと、改めてアキミに感謝しながら他愛も無い話を少しした。
『じゃあまた来週、学校でね』
「おやすみ、アキミ」
そう言ってお互い、通話を切る。
スマホの画面を見ると、既に0時になる5分前だった。
覚悟を決めたメグは、深呼吸して風呂場へと向かう。
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