水の鏡

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シャワーから漏れる水の音が風呂場に反響する中、メグは風呂場へと入った。 風呂場は大人2人が余裕で入れる程あり、少し動くにも問題の無い広さがある。 お風呂から上がった後、改めて溜めなおしたお湯が浴槽に張られていた。 そこで改めて、さっき電話で少し聞いたアキミの話を思い出す。 深夜0時になる前に、家中の電気は必ず消す事。 少しでも灯りがあると、忌世界の住民がこちらの世界に出てきてしまう。 そしてお湯はなるべく多めに張り、振動を与えない事。 0時になったら浴槽の中心、水の真ん中を10秒以上見つめると何かが視える。 果たしてこんな事で何かが起こるのか不思議で仕方なかったが、メグはやってみるしかなかった。 風呂場の扉を閉め、浴槽の前に座り込む。 スマホは両手で握りしめ、ずっと胸に押し付けていた。 締め切った風呂場でも、静かになるとリビングで鳴る時計の針の音が聞こえてくる。 漏らしたい息を殺し、0時になるのを待った。 いつの間にか、額は汗ばんでいた。 たった5分がこんなにも長く感じたのは、生まれて初めてな気がしていた。 コッチコッチと時計の重い針の音が数回した後、突然リビングで大きな音が鳴る。 思わず肩を震わせ声をあげそうになったが、その音がいつも聞いてる時計の音だとすぐにわかり、右手で口元を押さえた。 見なきゃ、水面を見なきゃ……。 なるべく振動させないようゆっくり動き、水面の中心を見つめた。
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