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それが腕だと理解する前に、頭を掴まれ浴槽の中に引き込まれる。
メグは持っていたスマホを地面に落とし、引きずられるがままに水の中へ身を落とされる。
必死にもがくが、もがく度に掴まれた部分が食い込んできて痛みが走った。
狭い浴槽なのに、なかなか水面上に上がれず苦しくなってくる。
思わず水中で目を開けると、そこにあったのは血に塗れた女性の顔だった。
口から一気に空気が漏れだし、メグは力を振り絞って浴槽から飛び出した。
息を整える暇も無く風呂場から飛び出し、2階にある自身の部屋に駆け込む。
乱暴に扉を開け、勢いよく閉めてクローゼットに滑り込んだ。
そこでようやく息を整え始め、暗い部屋を扉の隙間から見渡す。
左手にスマホが握られていない事に気付くと、メグの目からさらに涙が溢れ出してきた。
「お風呂に置いてきたんだ、携帯……」
もし取りに行ったとしても、水に濡れて使えなくなってるかもしれない。
だけどあれが無いと、恐ろしくて仕方がない。
ダンダンダンダン!!!!
「……っ!!」
誰かが、メグの部屋の扉を叩いてきている。
音で驚いたのではなく、誰に叩かれているのかに怯えているのだ。
思わずメグは頭を抱え、ガチガチと歯を鳴らす。
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