水の鏡

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しばらくすると、音が鳴り止んだ。 暗い所に目が慣れはじめ、ようやく周囲がハッキリ見えてきた頃だった。 目を大きく見開いたまましばらくクローゼットに入っていると、再び時計の大きな音が聞こえてくる。 それが深夜1時を知らせてる事だと、すぐに理解した。 メグは意を決して、クローゼットから出ようとした。 身体を起こし扉に手をかけ、そこでようやく気付く。 扉の隙間から覗く、異常者のような赤い目に。 「いやぁぁぁぁぁ!!!!」 メグは叫びながら飛び出した。 赤い目にニタリと異常なまでにつり上がった口が、もう化け物にしか見えない。 それを振り払うかのように走って1階まで降り、風呂場に入ってスマホを手に取った。 ディスプレイが点いている。 まだスマホは動く。 メグはそのまま玄関に向かい、扉に手をかけた。 だが鍵は開いているのに、扉がセメントで塗られたかのように硬くて動かない。 リビングに入り窓に手をかけるも、やはり開かなかった。 割ろうと近くにあった椅子に手をかけるが、そこで床を見たメグは無意識に釘付けになる。 床には水の跡と、血の付いた足跡が風呂場から階段に続いていたのだ。 「やっぱり、やっぱり私が呼び寄せ……」 考えている時間は無かった。 階段からギィギィと、降りてくる音がメグの耳に届く。 聞こえた瞬間、窓を割るという考えが消え失せリビングの隣の部屋にある和室の押し入れに入りこんだ。
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